コロナで政府系キャリアの破綻は世界初
先日、各社から報道されたとおり、タイ国際航空(THA/TG)は破産法に基づく会社更生手続きを申請し、タイ政府がこれを承認。
そして本日(5月27日)、中央破産裁判所が会社更生手続きの開始を決定したと発表した。
タイ航空の破産は一般的には衝撃のニュースかもしれないが、タイ航空に興味がある人なら「あぁ、やっぱり…」という感想なのかもしれない。
というのも、格安航空会社(LCC)の台頭などから2013年頃から慢性的な赤字体質に陥り、これまで何度も経営危機が伝えられていたからだ。2019年末時点で、すでに2448億バーツ(約8000億円)の負債を抱えていた。
そこへ新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響で、ほぼ全便運休に追い込まれている現状では破綻も仕方ないことだろう。

タイ航空を含めたすべての国際線のタイ乗り入れ禁止も、6月30日までの延期が発表されたばかりだ。
国営企業ならではの高コスト体質
タイ航空は、タイの財務省が株式の51%を保有する国営企業。それに次いで政府系投資ファンドや政府貯蓄銀行なども株主に名を連ねる。このことが政治家との癒着を生み、さらに労働組合の力が強いこともあって、高コスト体質からなかなか抜け出せなかったと言われている。

会社更生手続きの開始に先立ち、財務省が保有している株の一部を政府系投資ファンドに売却したため、財務省の株式保有率は50%未満(47.86%)になった。「法的には」という条件は付くが国営企業という足かせがなくなり、経営再建のスピードアップを目指すというが、道のりはかなり厳しいものになりそうだ。
今後、従業員の3~5割削減などのリストラが進められるという。
破綻後も事業は継続
ちなみに破綻といっても事業を続けながらの再建となることを公式サイトで発表している。
すでに発売されている航空券も有効だということだ。
ただし今後、不採算路線の廃止などが行われることが予想される。
コロナ以前、日本路線だけでも成田、羽田、関西、中部、札幌、仙台、福岡に就航。タイ航空はスターアライアンスに所属しており、ANA(全日空)とのコードシェア便も多い。
日泰路線はビジネス、観光ともに重要な路線であることは間違いないので、今後の動きに注目したい。
タイ航空の思い出
以前、バンコクからタイ航空に乗った際、飛行機から降りる時にデンファレ(蘭)の花を胸に着けられるようにしたものを乗客に配っていたことがあった。たまたま何かのキャンペーンだったのかもしれないが、サービスが良かったという印象が残っている航空会社だ。
2018年のSFC修行では、スワンナプーム空港のタイ航空ラウンジにもお世話になった。

また、ANA便には設定がないタイ航空のファーストクラスでバンコク往復を一度は経験してみたいとも思っている。専用のチェックインカウンター(部屋)、電動カートでの移動、ラウンジでのマッサージサービスなど、リストラの対象となりそうな過剰ともいえるサービスはどうなるのだろうか?
再建が良い方向に向かうことを願ってやまない。

<2020.5.27追記>ボーイング787の全機(787-8/787-9)を退機させるなんていう情報もありますが、どうなるんでしょうか?
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