<2021.2.15追記>2012年撮影の画像が数点出てきたので追加しました。
タイ国鉄のフアランポーン駅(Hua Lamphong Station)が11月に廃止されるという報道がありました。これぞ始発駅という雰囲気を持つこの駅の様子を振り返ります。(撮影:2018、2019、2020年)

ターミナル駅が北に約7km移転
2021年11月、レッドライン開業とともに、バンスー中央駅(バンスーグランドステーション)がバンコクの新しいターミナル駅になります。地方へ向かうタイ国鉄の長距離列車もここが始発(終着)駅に。
バンスーは現在のターミナル駅であるフアランポーン駅から北に約7kmにある駅。つまり地方へ向かう長距離列車は、その分運行距離が短くなるということ。

当初はターミナル移転後もフアランポーン駅はしばらく使い続け、シャトル便などが運行されるとのことでしたが、2月になって突然、11月に廃止という発表がありました。
バンスーとフアランポーンの間は列車の運行を取りやめ、バスなどで代行するということらしいのですが、ラッシュ時の渋滞のことを考えると現実的ではなく、通勤、通学客などから反対の声があがることが予想されます。
一転して廃止取りやめという可能性がないわけではありませんが、いずれにしろターミナル駅としての役割は終えることになります。
ボールド屋根が特徴のフアランポーン駅
これまで何度も訪れたフアランポーン駅の様子を見ていきましょう。
駅舎正面のデザインはヨーロッパ調。ボールド(かまぼこ型)の屋根が特徴的。

中に入ると、そこは広い待合スペース。天井の一部がガラスになっていて、明るい雰囲気。正面には鉄道建設など、タイ近代化の父と呼ばれるラーマ5世の肖像画が掲げられています。

その下には切符売り場の窓口が並んでいます。

待合スペースの周辺には飲食店などが並んでいますが、その一角にロボット型のガチャガチャが置いてありました。一番左に写っているのは体重計ですね。

さらに先へ進むとそこは列車が停車しているプラットホーム。フアランポーン駅には改札がないので、切符を持っていなくてもホームに入ることができるんです。

高いボールド天井の下に列車が並ぶ姿は、ヨーロッパのターミナル駅のよう。この時並んでいたのはアメリカ製のGEA型ディーゼル機関車(4542、4551)。
タイ国鉄のプラットホームは高さがなく、すぐに線路に降りられるのも日本とは違う点。(ただし、バンスー中央駅開業にあわせて、一部の駅ではホームを高くする工事が進行中。)
元日本国鉄のブルートレイン発見
ホームを散歩していると、向こうからバイクが走ってきました。日本じゃ考えられない光景。

一番東側のホームには、プレステージカーと呼ばれる車両が置かれていました。

貸し切り車両として一般の列車に連結されたりするもので、これはA.R.S.221(?)の展望車。この車両は元日本国鉄のブルートレインを改造したもの。
ホームがなぜかバイク置場のようになっていますね。さっきのバイクもここを駐輪場代わりにしてどこかへ行ったんでしょうか。
ほかにも何両かのプレステージカーを見ることができました。

これが元国鉄の車両という証拠。このA.R.S.241は昭和53年新潟鉄工所製の元スハ25 301。

ホームから見た風景
駅構内を散策していると、ほかにもいろいろな風景が見られます。
これはフアランポーン駅名物(?)の洗車風景。

列車が到着して、折り返しまでの時間にホースで水をかけ、ブラシで汚れを落としていきます。時間が少なく、洗剤の泡を付けたまま発車する光景も見られるとか。
こっちでは保線作業中。

そして日本では絶対見られないであろう、ホーム上の散髪屋。

これはボランティア活動のひとつという話を聞いたことがあります。こんな光景も見られなくなるんだろうな。
ホーム上の置かれたこれ、何だかわかりますか?

列車の側面に付ける行先表示板です。
新型の中国製寝台列車にはLEDの表示装置が設置されていたりするので、これもやがて見られなくなる運命。

この車両は車体側面に大きく「Restaurant」と書かれた旧型車両の食堂車。

2019年頃に新型車両を除いて食堂車は廃止になったということを聞いているので、すでにこの光景も過去のものか。
2012年の画像が出てきたので追加します。

駅の様子は今とあまり違いはないようですが、客車の塗装が白に下半分が水色という旧塗装。今はこの色の客車は見ることができません。
保存SLと車両留置場
駅の北西側には蒸気機関車(714)が保存されています。これも元日本国鉄のC56というSL。

さらに北側に目を移すとタイ国鉄の施設があって、修理中(?)の車両が留置されていました。

駅の北側は車両基地のようになっていて、多種多様な客車を見ることができます。

入れ替え用の機関車が客車を組み換えしているのを見るのが楽しいんですが、よく間違えないものだと感心してしまいます。

2012年にアユタヤへ初めて行った時の画像が出てきました。フアランポーン駅を出発してすぐに撮った画像です。

車両基地にも旧塗装の客車がありました。


夜のフアランポーン駅
夜になると夜行列車がさまざまな地方へ向けて出発していきます。待合スペースには列車を待つ人が大勢いました。

昼間よりもさらにノスタルジックな雰囲気を味わうことができます。

発車前に車両の修理をしているのもよく見かける風景。大丈夫なんでしょうか?

フアランポーン駅は廃止後も一部が鉄道博物館になるという話も出ているようですが、どこか懐かしい雰囲気を持つターミナル駅がなくなってしまうのは寂しいですね。

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